不動産の用語集

用語の頭文字

か行

価格査定

不動産の売却を媒介する場合に、依頼者に助言するなどのため

取引価額を算出する行為をいう。

この場合にその根拠を示すことが必要で、

標準的な手法によって取引事例を比較検討し、

客観的で実際的な成約見込額を算出しなければならないとされている。

一般的には、価格査定のためのマニュアルを用いることが多い。

一方、不動産鑑定も価格の査定を伴うが、

不動産取引の媒介に当たっての価格査定とは違って

経済的価値を判定するものであり、算出する価額の

性質に違いがあることに注意しなければならない。

また、不動産鑑定は、価格査定と比べてより専門的、

精密な方法で実施される。

さ行

重要事項説明

宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。

また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。

重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある(相手方の同意を得たうえで電磁的方法で書面を交付し、IT(インターネット等)を用いた説明を行なうこともできる)。

説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、

1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件

に関する事項とされている(詳細は必ず直接に法令(宅地建物取引業法第35条およびその関連法令)に当たって確認されたい。また、臨機に改正も予想されるので留意が必要である)。

重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。

相続

死者の有した財産上の一切の権利義務を、特定の者が包括的に承継することをいう。

相続は、死亡のみによって、意思表示を要せず一方的に開始される。ただし、遺言により相続の財産処分について生前に意思を明らかにし、相続に反映させることができるが、この場合には、遺留分の制約がある。

財産の継承者(相続人)は、1.子・直系尊属・兄弟姉妹がこの順で先順位の者が(同順位者が複数あるときには共同して均等に)、2.配偶者は1.の者と同順位で常に、その地位を得る。子・兄弟姉妹の相続開始前の死亡や相続欠格等の場合には、その者の子が代わって相続人となる(代襲相続)。
また、相続人は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に、相続の承認、限定承認、相続放棄のいずれかの意思表示が必要である(意思表示がないときには相続の承認とみなされる)。

遺言の指定がないときの相続分(法定相続分)は、1)配偶者と子のときには、配偶者2分の1、子2分の1、2)配偶者と直系尊属のときには、配偶者3分の2、直系尊属3分の1、3)配偶者と兄弟姉妹のときは、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1である。

なお、法定相続分は遺言がない場合の共同相続人の権利義務継承の割合を定めたもので、遺産分割は相続人の協議等によってこれと異なる割合で行なうことができる。

相続税

相続遺贈によって取得した財産に対して賦課される税をいう。

この場合の財産には、相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産を含む。

納税義務者は財産を取得した者であるが、税額の算定に際しては各種控除などが適用されるので、十分な注意が必要である。

一般的な相続税額の算出手順は次の通りである。

① 課税価格の算出
取得した財産の価額から、一定の生命保険金等の非課税財産の価額、小規模宅地に係る減額相当額などを減じ、相続時精算課税に係る贈与財産価額や3年以内の贈与財産の価額などを加算して、課税財産額を算出する。
② 相続税総額の算出
ア 課税遺産総額の算出:①で算出した課税価格から、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を減じる。
イ 法定相続人の取得金額の算出:アで算出した課税遺産総額を民法に定める法定相続分に従って取得したと仮定して、各法定相続人の取得金額を算出する。
ウ 法定相続分ごとの取得金額に応じた相続税額の算出:イで算出した金額に相続税率を乗じて算出する。税率は、取得金額に応じて、10%から55%まで累進的に定められている。
エ 相続税総額の確定:ウで算出した法的相続人ごとの相続税額を合計する。
③ 各人ごとの相続税額の算出
②エで確定した相続税総額を、各人の実際の相続割合に応じて按分し、相続税額を算出する。
各人ごとの相続税額=②エの価額×各人の相続割合
④ 各人の納付税額の算出
③の価額から、相続人の属性に応じて、配偶者税額軽減、未成年控除などの各種税額控除額を減じ、各人の納付税額を確定する。この場合、財産取得者が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合には、相続税額の20%相当額を加算して納付税額が算出されることに注意が必要である。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告納税しなければならない。

は行

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、

具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。

また土砂は土地そのものである。

不動産鑑定

不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)に基づき、不動産鑑定士または不動産鑑定士補が不動産の経済価値を判定することをいう。

不動産の経済価値を判定する方法としては、金融機関による担保評価や、不動産会社による簡易査定などがあるが、不動産鑑定は公式かつ最も信頼性の高い方法であるといえる。

地価公示における標準地の評価や、都道府県地価調査における基準地の評価は、不動産鑑定によって行なわれる。

また民事裁判において、相続された不動産の評価や、金融機関が担保とする不動産の評価が問題になるケースでは、不動産鑑定士または不動産鑑定士補に依頼し、不動産鑑定を行なうのが一般的である。

不動産取得税

不動産を有償または無償で取得した場合や改築等により不動産の価値を高めた場合に、その取得者等に課税される地方税のことである。
不動産の所在地の都道府県が課税の主体となるので、実際の徴収事務は都道府県が行なうこととされている。

不動産取得税の税率は原則的に「不動産の固定資産税評価額の4%」とされている。

ただし「住宅の建物部分」に係る不動産取得税については「建物部分の固定資産税評価額の3%」とされている(地方税法附則第11条の2)。
ちなみにここでいう「住宅」には別荘を含まない。ただし、週末を過ごすため郊外に購入した2つめの住宅や、勤務地の近くに購入した2つ目の住宅といったいわゆる「セカンドハウス」はここでいう「住宅」に含まれる。

なお、一定の要件を満たす「住宅の建物部分」や一定の要件を満たす「住宅用土地」については、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられている。

不動産取得税は原則的には、不動産を取得した者に対して、不動産の取得の日において課税される(地方税法第73条の2第1項)。
ただし、新築によって建物を取得した場合には「最初に使用された日」または「譲渡された日」が「取得の日」とみなされて、その日における所有者が納税義務を負うケースがある(地方税法第73条の2第2項)。具体的には次の通りである。

1.「最初に使用された日」が「取得の日」となるケース
賃貸業を行なう個人が、建築業者に賃貸建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初に借家人が使用した日が「取得の日」となる。
また、一般の個人が建築業者に自己の居住用の建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初にその個人が入居した日が「取得の日」となる。

2.「譲渡された日」が「取得の日」となるケース
建売分譲業を行なう会社が、建築業者に建売住宅を新築させた場合には、新築の日ではなく、建売住宅が販売された日に課税される。このとき納税義務者は建売住宅の購入者となる。

なお、上記1.2.の場合において、新築の日から6ヵ月を経過しても、最初の使用や譲渡が発生しない場合には、その6ヵ月を経過した日が「取得の日」とみなされる。

不動産の買取り

不動産の売買を支援する方法のひとつで、不動産業者が売却希望の

不動産を一旦買取り、買取りを希望する者に売却することをいう。

仲介との違いは、不動産事業者自らが取引の当事者となることである。

不動産買取による取引支援は、売却者が売却のリスクを

転嫁できること、買取り者(不動産事業者)が売却者と

直接交渉できることなどの特徴がある一方、

不動産事業者が取引の当事者となることによって

自己利益を図る恐れがある。

自己勘定取引(ディーリング)と媒介取引(ブローカリング)の

隔離によって、利益相反を回避する必要がある。